「あとふたヤマくらいあるから、覚悟しとけよ」「仕方ないよ、はつらつとやんなさい」
超えたい人
「あとふたヤマくらいあるから、覚悟しとけよ」
「仕方ないよ、はつらつとやんなさい」
いつ会っても言われるのはこれくらい。
というか、これ以外、聞いたことがないといってもいい。
言葉の主はかつての職場の先輩(かなり年上)。
恐ろしく昔気質のその人とは
時々、食事をすることにしている。
待ち合わせ場所に早めに着くと、
(!)
もう待っている。
大きく手を振ると、私にくるりと背を向けて
とっとと歩き出す。
(!)
駆けって追いつくと
「まるで子どもか!」いきなりジャブを食らう。
負けじと「お元気でしたか?」と声をかける。
先輩「まあ、こんなもんよ」
つれない返事。
無理やり顔を覗き込んでニコニコしようものなら、
決まって「懐くな!」
以降、会話ゼロ。
促されて店に入ると
メニューを見ようとしている間に
顔馴染みらしき店員さんに「いつもの2つ」
(え、選ばせてよ・・・)
食べている間はほぼ沈黙。
たまに聞かれることと言えば、
「ご両親は変わりないか」
「うまいこといってんのか」←すごく丸い質問で返事に困る
ルンルン話せば、「覚悟しとけ」
ションボリ話せば、「はつらつとやんなさい」
うっかりグチろうものなら「くだらん」
なのに・・・
この人と食べるゴハンはおいしいし、
一緒にいる時間は不思議なくらい心穏やかだ。
なぜだろう。
それは、その人にウソがないから。
それは、私のことをよく考えてくれていることが
伝わってくるから。
こんな会話だけだけれど、
いざとなった時、何があっても力になってくれるのが
この人だし、
何が起きても変わらないのもこの人だ。
かくありたし。
いつか恩返ししたいと思うけれど、
今の私には足りないものだらけ。
かなり先になりそうだ。
担当:ミカン