013.音心(おとごころ)でつながる 2/3
― パフォーマンスをする上で心がけていることは?
C:駆け出しの頃は良く見られたい、とか出来上がりをうまく、とか、
見ている側から見て格好よくないといけない、と思っていました。
確かにそれも大切なんですが、素の部分で、素の私が歌いきるときに歌にどう魂を込めるか、
上手い、下手、テクニックじゃなく、生き様を表現したいですね。
だから、作ったり、飾ったりはしません。
そのために必要なのが普段からリラックスしていることです。私は今、36歳なんですが。25歳には25歳なりの表現があって40歳になれば、今はできない表現ができるようになっているはずです。
保護犬活動もそのひとつですが、日頃から、何かを感じたり、優しさを持っていられるよう心がけています。もしかしたら、音楽に関わっていない時の方がいろいろ気をつけているかもしれません。
飾ったら、お客様にすぐにバレてしまうんです。
N:芸術というくくりで言うと、今日の演奏は今日しかできません。
今日できることは昨日までの積み重ねがあって今日できるし、できるはずです。
ステージ上にはいつももう一人の自分がいるんです。入り込んでいる自分を冷静に見ている自分がいる。
幽体離脱したみたいに自分を客観視して、起きたことをすべて覚えています。それができるかできないかがプロとアマチュアの違い。
うまくいったところ、いかないところをわかりながら、課題を感じながら演奏する自分がそこにいるんです。
プロゴルファーの石川遼くんじゃないですが、ちょっと林に打ち込んじゃったけど、そこからなんとかリカバーして最低でもパーで帰って来よう。それでスコアを72にまとめようとか、そんなことを考えますね。いろんな角度から、冷静になったり、リラックスしながら客観視するということをステージ上で心がけています。
あそこがまずかったから、こうやって直して次のステージへの課題にしようということ。
できていないものを持ち帰って練習するようにしています。
― ステージでの失敗体験を教えてください。
N:もう、それはしょっちゅうですよ(笑)音が出なくなるハプニングもありますし、野外ライブで停電になって、曲の途中でパーカッションのソロになったことも・・・
― そんな時はどう乗り切った?
N:僕は踊りました(笑)
そういうことひとつとっても、自分だけじゃない。相手もいる。お客様にはやっぱり、楽しんで帰っていただきたいですから。ジャズの魅力はなんといっても即興であること。お互いの会話みたいないものです。
― 相手と合わなくて困ったことは?
N:それもしょっちゅうですよ。軽~く殴っちゃったこともあります(笑)ジャ~ン♪と終わって、拍手がパチパチとなったところで頭をパコッ!と。
― 相性も大切ですね。
C:そうですね。
うまく波長が合うとどんどんいいアイディアも生まれますね。体調に左右されることもありますしね。